• Faculty of Arts / Art Award

2025_遠山 雅_よんぎ壺

よんぎ壺
遠山 雅
造形芸術専攻 現代表現研究室
サイズ可変
ミクストメディア(粘土、土、陶片、陶芸用具、木材などによるインスタレーション)

­遠山雅さんの修了作品《よんぎ壺》は、自作の壺や古伊万里などの陶片、陶芸用具、土などで構成されたインスタレーション作品です。タイトルの「よんぎ」とは、佐賀県の方言で「少し曲がっている」「ぐにゃりとしている」といった意味の言葉です。作者の仮説によれば、韓国語で容器を意味する「용기(yonggi)」に由来しているとされています。作品に登場する「よんぎ」ってる壺は、作者自身が土を掘り出して成形したものや、干潟の土を釉薬として用いたものなど、さまざまな素材や手法によって制作されています。作者の出身地である佐賀県肥前地区は、唐津・伊万里・有田といった陶磁器産地として知られていますが、その発展の背景には、豊臣秀吉の朝鮮出兵による陶工の連れ帰りや、彼らによる良質な陶石の発見がありました。こうした歴史の中で、均整の取れた形や白く美しい素地を理想とする価値のヒエラルキーが形成され、基準から外れた器や陶片は「つらもん」と呼ばれ、「ものはら」と名づけられたゴミ捨て場に廃棄されてきました。作者は「よんぎ」と「용기」を結びつけ、肥前地区の陶芸の歴史に潜む植民地主義的な側面を浮かび上がらせ、正史とされてきた陶芸史を相対化しようとしています。それは、周縁に追いやられた「よんぎ」「つらもん」「ものはら」を歴史の中から拾い上げ、語られてこなかった歴史を含めて、より複雑で豊かな陶芸史として捉え直す意欲的な試みと言えます。