• Faculty of Arts / Art Award

2025_岩本健太郎「雨ごし」

雨越し
岩本 健太郎
デザイン工芸学科 映像メディア造形分野
空間映像/デジタル2Dアニメーション(2分5秒)

岩本健太郎さんの作品『雨越し』は、メッシュ状スクリーンを三段階に縦列配置した空間に、2Dアニメーションを投影する空間映像作品である。作者は、平面的な2Dキャラクターにいかにして「存在のリアリティ」を与えることができるかという問いを起点に、幅約3メートル、奥行き約4.4メートルの展示空間そのものを表現に取り込んでいる。
横断歩道という身近な舞台設定のもと、映像は複数のレイヤーに分かれて投影され、観客は奥行きのある空間の中で出来事を追体験する。暗室空間を前提とした構成や、観客の視線の移動を意識した演出によって、映像は単なるスクリーン上映ではなく、空間と連動した知覚体験として立ち現れる。
多層スクリーンによる像の透過や揺らぎといった特性は、主人公を「幽霊」として設定することで物語と自然に結びつき、表現上の必然性を獲得している。また、三台のプロジェクターを同期させた上映により、奥行き構成と2D作画の繊細な表現が重なり合い、観る者に空間の変化や距離感を意識させる作品となっている。