• Faculty of Arts / Art Award

2025_宇根 慈_旅路

旅路
宇根 慈
美術学科彫刻専攻
H1100×W2000×D300mm
H1240×W21400×D290mm

「旅路」は、二羽のツバメのつがいをモチーフとした鉄による宙吊り彫刻作品です。翼を大きく広げ、空間を横断するように配置された二羽のツバメは、静止しながら、飛翔の一瞬を的確に捉え、鑑賞者の身体感覚や空間認識を喚起します。 造形的に、鉄という素材は一般に工業的で無機的な印象を伴いますが、本作品において作者はその通念を反転させ、羽の重なりや角度差によって生じる陰影を精緻に構成することで、有機的で柔らかな造形表現を獲得しています。さらに、鉄を加熱し、温度変化によって生じる酸化皮膜の構造色を利用して青色を発色させる技法が用いられています。塗装に依らない青は光や視点の変化に応じて表情を変え、ツバメの飛翔に伴う空気の流れや時間の移ろいを繊細に可視化します。作者は鳥類の生態系への関心から、この構造色が実際の鳥の羽毛と同様の発色メカニズムに基づく点に着目しました。小さな身体で長距離を移動し、季節ごとに生息地を変えるツバメの生命感は、空間と関係づけられた展示構成によって、空間全体に爽やかな存在感として立ち現れています。